『リンダリンダラバーソール』大槻ケンヂ(新潮文庫)
のび太の万能感、ということを以前に書いた。たいがいの若者は、その不確かさに気づいた時、怯えるし警戒する。根拠のない万能感のまま突っ走れば、いつかは破滅が来るであろうと容易に想像がつくからだ。ところがXは、彼らは、破滅を承知で一気に駆け抜けるという生き方を選び、やはり見事に、砕け散ったというわけだ。
「かなわない」
という僕の想いは、ライブパフォーマンスの優劣よりも、彼らの、将来への不安はあるがままに、ともかく突っ走るという、その目的本位の選択に対してだったのかもしれない。
ギタリストのHIDEは、98年、他界している。
2008年 DREAM2 田村潔司VS船木誠勝戦煽りVTR
「理想はときに、大きな傷跡を残す。そしてときに、計り知れない狂気の集合体となる」
「U.W.F。20年前、格闘王前田日明が立ち上げた革新的なプロレス団体」
「U.W.F以外は全部嘘だ」
「今まで格闘技戦で人が死んだことはないですけど、今日もしかしたらそうなっちゃうかも」(U.W.Fを観にきていた男性)
「格闘技を食えるようにしたのは、U.W.Fですよ」(前田日明)
「そして、眩い理想に幻惑された二人の若者」
「正統派U.W.F 孤高の天才 田村潔司」
「田村はU.W.Fに心酔し、青春の全てを捧げた」
「スクワット2000回くらいやったんですけど、冗談で先輩に『あと1000回くらいできるんじゃない?』って言われて『できません』って言っちゃったんですよ。そしたらボコボコに殴られて、あと1000回くらいやらされて…」(田村潔司)
「道場でね、練習生が亡くなったんですよ。練習中にね。取り返しのつかないことなんですけどね」(前田日明)
「急進派U.W.F 蘇ったサムライ 船木誠勝」
「新日本プロレスから引き抜かれたスター候補。だが、真剣勝負に飢えていた男には、このリングさえ狭すぎた」
「これは本当の戦いではない。これは最強ではない」
「あらゆる狂信的な集団がそうであったように、内ゲバを繰り返し、2年半で崩壊」
「ただ、本当の戦いが、したかった」
天下分け目の決勝戦もM−1GPですが、
一回戦二回戦という局地戦もまたM−1GPそのものだと思うわけですよ。
コンビの人はもちろんそこに死力を尽くしていくわけですし
(この10年、全ての若手漫才師はM−1のために1年を使っていたのではないだろうかッ…?)
ピンはピンで、即席コンビを作り、参戦してみたりするわけです。
そして2008年、私は、あるファイターに注目していました。
それが、おかっぺさん。
東京NSC5期生、私の二年先輩。
『わらいのじかん』『ぐるぐるナインティナイン』出演という実績も去ることながら…
おかっぺさんが舞台に出ると、
開始20秒爆笑が起こるのです。
ただ…
そこから笑いがしぼんでいってしまうのです…。
これはDisってるわけでもなんでもなく、そこも含めて好きなところなんですが…
おかっぺさんのネタは大体いつもこんな感じでした。
「Tバーック! TバックTバックTバック…好きなパンツは…おパンツ!
好きな車は、おベンツ! おパンツ!」
知性のかけらもない始まりですが、これが開始20秒、鬼のように爆笑を生みます。
これを、なんとかうまく活かせないものかと考え…ある策を思いつきました。
そして、M−1という史上最高のタッグトーナメントに参戦するために、
モンゴルマンを誘うバッファローマンの気分でおかっぺさんをお誘いに行ったのです。
結果は…
「あ、いいよ」
と即答。
ITベンチャーの社長なら成功しそうな決断力の速さです。
そこから私たちの練習が始まりました。
まずは私の主旨説明。
おかっぺさんの開始20秒の爆発力は、誰にも負けないものがある。
それを活かしたネタにしたい。
そのために…
私がカンフル剤になる。
20秒ウケる…普段ならそこで失速するところを、あえて俺が一旦止める。失速するんじゃなく、あえてブレーキを踏む。そして再度改めて、おかっぺさんにネタをしていただく。これを四回繰り返すと80秒。1分20秒。残りが私の時間で、M−1一回戦既定の2分になります。
その中で、私は一応ツッコミというポジションになるのですが、あえてハリセンを使うことにしました。
「TバックTバック」言いながら暴走するおかっぺさんの頭をハリセンで思い切り叩く。
これで一つの笑いになると思ったのです。
そして、練習が始まりました。
10月、夕方の代々木公園…
マラソンランナーや、ベンチで愛を語らうカップルの中…
「TバックTバックTバックおパンツ!」
という声と
バシッ
というハリセンの音が響き渡ります。
何度も何度も…
すると…
「あ、なんか頭クラクラしてきたからハリセンやめて」
と言われました。
狂った季節
です。
そして当日…
私の予想通り、
爆笑が起こりました。
そして、
1分で失速しました。
私のカンフル効果は、20秒を1分にしただけでした。
そして、一回戦敗退しました。
完
「Because we can, can, can
Yes we can, can, can, can
Can, can, can, can, can」
Because we can/ファットボーイスリム
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