元売れない芸人の独り言

孤高のコーイチロー、波乗りコーイチロー、ヒキコモリオなどの芸名で売れない芸人をやっていました。

「馬鹿よ貴方は」と『ヒミズ』

フライデーナイトライブで、「馬鹿よ貴方は」という吉本でも同期、フライデーでもいわば同期だった芸人を見て、何点か思うところがあった。

▼こんなコンビです▼

今日は漫画喫茶のコントでした。

1、一番ウケていた

先輩たちがいらっしゃるのにこんなん言うのは怖いが、しかし、事実、今日舞台に立った芸人の中で一番ウケていた。…まあ、もちろんハードルはあって、マキタさんが同期だったら、「なんだこのすごい人は」ってなると思いますが。でも本当に、後に出られた先輩方、売れてる方達に比べても、一番安定していて、一番ウケていたと思う。今日はっていう話ですけどね。先輩方も素晴らしいんですが。

2、コントのセオリーをわかった上で無視して突っ走っている

ファラオが漫画喫茶の店員。新藤君が客。客が来ても後ろを向いていて、「漫画喫茶はラクなのが魅力的なんだよ」とぶっちゃけまくった文句を言う。さらに「さあ他の店にレッツゴー」というムチャクチャな言動。…ここで。吉本では、絶対にされるダメ出しがある。「そんな失礼な店員なら、帰るだろ」と。ここでみんな臆して客と店員コントやらなかったり、なんか無理矢理理由をつけたりするのだが…新藤君は、しれっと帰らない。いや、もちろん、そこはさすが、「始発までいれるとこここしかない」みたいに理由は入れていたけど、それでもまあ他を探せばいいといえばいい。が、新藤君は、無視して話し続ける。「いや、だったら帰りますよ」みたいなお決まりのムーブも入れない。これは、10中89、確信犯でやっている。「もういいだろ、そのダメ出し。面白ければいいんでしょ」と思ってやっている。…いや、聞いたわけではないんですが…。

3、ツッコミの優秀さ

金もらってるわけでもなんでもなく、ステマだと思われてもイヤなんですが…しかし言っておきたいことがある。こういうコンビの場合「ファラオ面白い」って言われて、新藤君に脚光が当たらないのですが…。新藤君もいい仕事してますよ。あの異常を、正常とすりあわせてるのもすごいし、2のようなテクニック、判断力もいいし、ちゃんと脚光を当てないようにしてるのもいい。

4、ファラオヒミズの主人公住田論

住田は、ダメ人間とダメ人間が交わり、間違ってこの世に生まれてしまった人間である。ファラオも、この世に生き場所を探せなかったダメ人間である。だから「ラクだから」という堕落的な理由で漫画喫茶を選び「一人勤務だよ。パラダイスだよ」などと他者との関わりを排し、「パラダイス」がそんなところにあると大きい勘違いをしている。ヒミズの主人公がボート屋で独り厭世的に住んでいるのにも似ている。そしてヒミズの住田はいよいよ現世と離れていってしまうが、そこには茶沢景子という、現世に引き戻してくれようとする唯一の存在がいる。ファラオにとってそれは新藤君だ。ファラオが完全にあっちの世界に行かないように引き止め、現世との橋渡しをしている。そう考えると「馬鹿よ貴方は」=『ヒミズ』であると言ってもいいのではないか。


…や、まあ本当は、顔がなんとなく似てるってだけなんですが…。