元売れない芸人の独り言

孤高のコーイチロー、波乗りコーイチロー、ヒキコモリオなどの芸名で売れない芸人をやっていました。

わらいのじかんから12年。松本師と千原ジュニアさんのコント

先日MHKで、松本人志氏と千原ジュニアさんのコントが放送された。

天声人語的に言うと、最近成人式を行った新成人たちは、この二人がコントをすることがどれくらいすごいことかわかっているのだろうか。

ああ、またオヤジの「居酒屋若者論」か、などと言わずに、聞いてほしい

まず、松本人志さんという方は、ものすごい尖ってる方だった。今の松本師からそう感じるかもしれないが、12年前は、今の100倍くらい尖っていた。そもそもこの「松本師」という言い方も、松本師自身がそう言われるのを許容されていた。つまり、カリスマになることを請け負っていたのだ。「自分が一番面白い」「たけしさんの影響は受けていない」「ナインティナインダウンタウンのチンカス」…彼の尖った言動を数え出せば、枚挙に暇がない。もしかしたら今の1億総ツッコミ時代からしたらイタい言動に映るかもしれないが、当時はそう言わせない迫力と、実力があった。私たち松本信者は、何があっても松本師についていこうと思ったものだ。そして(実力のある、売れてる)芸人は一組一組が山であるとし、それは他の山には登らないものであるという哲学を持っていた。だからこそビートたけしの影響を否定し、自分たちの山を登ってきている(かのように見えた)ナインティナインを否定した。

その山に登っているかのように見えるコンビがもう一組いた。(いや、もっと大量にいましたけども。笑撃戦隊は笑撃戦隊の中のダウンタウンを殺せるのか )それが千原兄弟。だが彼らも実は自分の中に確たる山を持つ者であり特にジュニアさんは「吉本のジャックナイフ」と称されるほど尖っていた。そしてダウンタウンさんの完全支配(いい意味で)、ダウンタウン病の排除が行われる中、「東京で売れてるコンビの影響を受けてるかと言われるが、俺はその人たちを見たことがない」という恐ろしい発言をしている。…しているはずだが、元ネタを失念した。ブラッドブラザーではない。思いだしたら書きますm(--)m

大崎氏のバックアップ、浜田さんのすさまじい特攻もあり、松本師は順調に天下布武を成し遂げていく。一方で千原ジュニア氏はやや遅れて進出。この二人の天才が交わるのが「わらいのじかん」という番組になる。…私としては、松本師がカリスマから、やや降りてきて、「面白くて優しい大御所」になるターニングポイントになったのがこの番組だと思っているが、とはいっても、まだまだそこにひりつくような緊張感はあった。今のハイテンショングランプリや、○○な話に若手が出るのとは違う緊張感があった。…もちろん今も生で見たら緊張感あるんでしょうけどね。当時は、ちょっとでもつまらなかったら「そうなんや」と一刀両断され、二度とフられないような圧力を感じた。逆に「おもろい」というハンコをもらえば、一気にブレイクするというハイリスクハイリターンの存在だった。藤井隆氏や雨上がり決死隊さん、芸人ではないがTMレボリューションなどがメガネにかない、飛翔していった。そんな中でのジュニアさんと松本師の邂逅。…正直、そこまでその場でジュニアさんが全開されていたかというと、そこまででも無かったと思う。もちろん、ミスもなく、つまらないとは全く思わなかったが。だけど、思ってたほど、ビリビリした斬り合いにはならなかった。その後二人はプライベートで遊ぶ仲になる。

その後ものごっつでの共演(集団の中でちょっとだが)、そしてバイク事故を経て、すべらない話でこの二人は完全にスイングする。

そして2012年、MHK。賛否両論あるMHKに、千原ジュニアさんがやってきた。MHKについて語るのは非常に難しいのだが…。まず言えるのは「間違いなく面白いコントもある」ということ。ダイナミックアドベンチャーポータブル、答辞、ハンドバルーン、シール。間違いなく面白い。ただ同時に、松本師が優しくなるのと同時に、出演者の人たちも優しい感じになってるなと思った(?)。ヒーロー戦隊の東野さん、くわがた男での今田さんが、普段の二人の切れ味を出していたかというと、ちょっとわからない。まず切れ味も何も、そういう役割ではなかったと言ったほうが正しい。まあ松本師が優しくなったのと同時に、過去の笑いを捨て続けるという松本師イズムが、よくも悪くも出て、今田さんも東野さんも、ごっつのときの今田さん東野さんではなかった。

しかし千原ジュニアさんは、千原ジュニアさんだった。かっちりセリフが決まってないコントだったから地で行けたのかもしれないが、非常に冷静なジャックナイフっぷりだった。特に「カット」って言われて、素で松本師のほうを見もせず帰ろうとするのとか、めっちゃかっこよかった千原ジュニアさんも丸くなったと言われる人だが、コカド氏とのCMネタといい、コントでゾクっとするような斬れ味を見せてくれる

…では、ジュニアさんが天才で、松本師は天才じゃないのか。

違う。ジュニアさんがジャックナイフを魅せれたのは、松本師の考えた「酒を飲みながらコントをする」という常人離れした設定があったからだ。

12年経っても、天才は二人とも天才だった。