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元売れない芸人の独り言

孤高のコーイチローという芸名で売れない芸人をやっていました。

将棋と笑いは似ているのか2

羽生善治二冠のブレイクは18歳のとき。大山康晴(3回戦)、加藤一二三(4回戦 = 準々決勝)、谷川浩司(準決勝)、中原誠(決勝)を破ってNHK杯を優勝する。バッファロー吾郎竹若氏、ケンドーコバヤシ氏、千原ジュニア氏、お〜い、久馬!氏を破ってダイナマイト関西優勝するようなものか。そして1996年に前人未到の七冠独占を果たしてリビングレジェンドとなる。

対する森内俊之名人は、羽生選手と小学生のときからライバル関係にあった。そして2007年に永世名人に。

そして今回羽生二冠が挑戦者として森内名人に挑む形になったのです。


将棋はまだ勉強中なのですが、笑いと共通する部分があるんじゃないかという気がしています。


1、奨励会とNSC

以前は将棋の師匠が弟子を独自に育成していました。しかし、将棋連盟の結束のために木村義雄会長が奨励会を発足。以後、プロ棋士になるには奨励会に入らなければいけないようになりました。まさに徒弟制度だった芸人界の禁を破り、一般公募始めたNSCと似ています。ただ、入る時にアマ三段の実力がないといけないこと、会の中での対戦で負けがこむと込むと厳しくプレッシャーをかけられること等、奨励会のほうがその時点では厳しいと言えます。

2、まずは定跡を覚えないとダメ

僕は、やってる人の中ではめちゃめちゃ弱いですが、それでも、将棋をやったことない人…どんなに地頭がよくても、将棋をやったことない人には、一戦目は絶対に勝てる自信があります。それは、僕のほうが定跡を知っているからです。「こう来たらこうなる」「こう来られたら絶対こうしなきゃダメ」などのインプットがあるので、相手が弁護士でも電通の営業マンでも売れてる芸人さんでも、一戦目は勝てます。…まあ「もう一回。もう一回」と言われているうちに、地頭いい人には10戦目くらいで抜かされてしまうかもしれませんが(笑)

笑いも然りで、いくら学生時代笑いを取っていても、いきなりスターにはなれません。そんな教室のようにリラックスして話せる状態など、よっぽど上に行かないとないでしょう。まずはネタを覚えないといけないのです。特に「ベタ」という定跡を覚えなければいけません。どんなに面白くても、それを知らないと、定跡を研究したベタな漫才に、ネタバトルではコロっと負けてしまいます。

3、守るだけでは勝てないが、攻めるだけでも勝てない

どれだけ強固に穴熊に囲っても、相手の王を取らなければ勝てません。(時間切れ除く)かといって、囲わず初心者が急戦を行うと、十中八九カウンターされて討ち死にします。

笑いも、スベるのを避けるやり方はありますが、絶対にスベらない、イジられないようなやり方をしていると、ほぼ勝てません。かと言って、あまりにも飛車だけで突っ込んでいくようなことをすると、思い切りスベります。

4、奇手・妙手も時には勝負に行かなくてはいけない

定跡は覚えなくてはいけませんが、そうなると、今度「こういう局面だと大体こう指す」というのが出てきます。これを俗手といいます。もちろんまずはそこに行くのが大前提です。…ただ、ちょっと強い人同士になってくると、それはお互いわかってるので、俗手だけでは勝つのは難しくなってきます。そこで「奇手・妙手」と呼ばれる俗手ではない手を指していかなければいけなくなります。これは怖いことです。過去に前例がないのですから。でも、決まれば、逆に相手はたじろぎますし、一気に上に行けます。

笑いも然り。ベタだけで登るのは難しい。…まあ、M−1もTHE MANZAIも、ベタを極めたような人は優勝まで行っていますが…。ただ、やはり、妙手が決まった人のほうが一気に登れる。それがスギちゃんさんの「だぜぇ〜」であったり、有吉さんの「おしゃべりクソ野郎」でした。あれはゴキゲン中飛車急戦形ともいうべき速攻で、品川さんもまさかあそこで王手までされるとは思ってなかったでしょう。誰もが驚く急戦でした。ただ、最近のツイッターの素人のさばき方などを見ると、有吉さんからしたら、あの事件から今の天下まで、読み筋だったのではないかとすら思ってしまいます。

5、読まなければいけない

定跡も少し覚えて、ある程度勝ちパターンもわかってくると…その上のステップとして「読み」というのが出てきます。「ここで角道を開けてくると、相手は角交換をしてくる。それは俺にとって有利なのか不利なのか。有利なら開けてもいいし、不利なら角道は塞ぐ」「▲6二銀を打ったら、△同銀と取るだろう。そしたら空いたスペース8二に歩を打って桂香を狙おう」のように。その場しのぎで勝てるのは、初心者相手だけです。

笑いなど、「読み」の集積です。というか芸人さんて「予知能力者」なんじゃないと思えるときがあるほどです。ここでツカんで、ここで天丼で爆笑を取り、ここからはオチまで畳み掛ける。このオチで、拍手させる。みたいな。これはネタの話で、トークになると、さらにその読みは複雑になります。今田耕司さんが楽屋で「こう来たらこう返す。あ、岡村こんなん言いよった」と楽屋で一人でシミュレーションしている姿を自虐的にノイローゼと言っていましたが、一流になるにはそれくらいしないとダメなのでしょう。

ちなみに僕も有田さん&マツコさん戦で、シミュレーションをして臨みましたが、それはまた別に書きます。


このように、「将棋≒笑い」であるという仮説を立ててみました。いかがでしょうか。