元売れない芸人の独り言

元売れない芸人がキン肉マンについて語っています。キン肉マンアニメ化祈願。

THE MANZAI2011で爪痕を残した人たち〜その1 チキチキジョニー〜

「爪痕を残す」とい表現を最初に使ったのは誰だったか。M−1から発信された言葉だったと思うが、誰だったかハッキリとは覚えていない。松本人志さん(以下松本師)がその後何度か「爪痕残したな」と言って定着させたが、松本師発信か…というと、ちょっと自信がない。松本師発信問題(?)は多く、「辛ッ!」とか「熱ッ!」のように、「い」を省略させたリアクション、ツッコミなどがグレーゾーンとして有名。日本中に広めたのは間違いなく松本師なのだが、言い出したのはFUJIWARA原西氏だと言われる。確かにそれもあり得る。松本師発信の言葉も多くあるが、後輩の言ってる面白い言い回し、面白いノリを率先して取り入れられたりもする。その辺はまた改めてまとめてみたい。

とにかく「優勝してもしなくても、小さくまとまらず、見ている人の記憶に残るようにする」というような意味。そしてこれこそが、大会で初めて世に出るコンビの最低にして最高の命題であり、できたときは、優勝者を超えるほどのインパクトを出すことができる。2009年のオードリー、2010年のスリムクラブがまさにそうで、次の年、優勝者の10倍は露出することができたのではないだろうか。他にもU字工事さんや南海キャンディーズさん、もちろん笑い飯さんと「爪痕を残した」コンビは数組いて、皆スターダムにのし上がっている。

そして今大会にも爪痕を残したコンビは数組いた。…まあまだ日が経ってないので実際に仕事が増えるかどうかはわからないが、私の心と、ネット上で優勝者よりも盛りあがっているコンビはいる。その一組がチキチキジョニーさんだ。

松竹芸能所属。ボケが石原祐美子。メガネの小さい方。ツッコミが岩見真利。2000年に結成された。…ツイッターではチキチキジョニーチキチキジョニーと連呼していたが、私よりも芸人になったのが早かった。「さん」を付けた上でお詫びしたい。…サンドウィッチマンさんにしてもそうだが、出てくると、なんで今まで知らなかったんだと思うが、それくらいお笑いは激戦区で、出てくるのが難しいのだろう。だが腐らずハイレベルなことをやっていれば、何か一個のチャンスでブレイクするのだろう。

ではチキチキジョニーさんの何がハイレベルだったか。構成としては典型的なしゃべくり漫才で別に目新しくはない。目新しくはないのだが…

大きい大会で初めて時事ネタを扱ったコンビが出てきた

ということが新しい。

…また余談だが、M−1、THE MANZAIキングオブコント、R−1など、大きいコンテストを総称する名称を誰かに作ってほしい…。

とにかく、漫才の基本で、ライブでは腐るほど見れる時事漫才が、大きい大会では出なかった。理由は「8月にウケる時事が12月にウケるわけではない」こと、「笑いの強度で漫才コントに負ける」こと、「新しい形ではない」こと、「それをわかってるから皆やらない」ことが挙げられる。…例外として、変ホ長調がM−1決勝に残ったが、それはやはり例外にしたい。上がったのはすごいが、やっぱりノーリスクのアマチュアと、その先を見据えたプロの漫才は違うと思うのだ。

チキチキジョニーさんは、プロとして時事を扱った。…100%時事というわけではないが、チャゲ小室哲哉なごり雪など普遍的なものを題材にするのと、宮崎あおいの「1000のバイオリン」、北川景子の演技力を題材にするのとは明らかに違う。もちろん、それだけでは上がれなかっただろう。意図的かどうかわからないが逆張りしてたところに、「女コンビ枠」がハマったのだろう。

よく言われる「吉本枠」とか「他事務所枠」というのが明確にあるとは私は思わない。だけど、15組中、なるべくバランスよく配置したいと思うのは、まともな審査員なら当然の判断だろう。

そして、面白かった。バカみたいな言い方だがこれが大事で、新しいことをやっても、いい枠を取れても、面白くなければ上がれない。大ネタ8個「北川景子演技どれも一緒」「石原さとみ共通点ありすぎる」「上野樹里男ウケしない」「長澤まさみは女に嫌われる」「全部綾瀬はるかに変えてあげますって言われてもアゴだけは残す」「宮崎あおい歌下手」「西野カナ重すぎる」「加藤ミリヤなんかイヤ」ことごとく面白かった。ワードセンスと、ブスだから、これを言えるのが許されるっていうのがでかい。ネットとかでは言われてるし、ライブでやってる芸人はいるかもしれないが、ブスという自分たちの武器に乗せて思い切り振りきったのがでかい。

そして狙ってないと思うが「お前もう生まれ変わんな。今の生を精一杯生きろ」という名言も出した。

ただ、よかっただけに、残念なところも二か所あった。一つは最後のツッコミでメガネが外れたこと。最後の保険ともいえるが、せっかくしゃべりで笑い取ってきただけに、「漫才に道具使った」とムダに思われるのはいらなかっただろう。それとネタ前に流された「通知の瞬間」VTRでの「出れただけで満足です」発言。死ぬほどわかるし、その通りだし、いい人なんだろう思ったが、そこは春日氏の「自信がなきゃここにいませんよ」くらいどっしりしてほしかった。

ここで満足と言わず、もっと上を目指していただきたい。