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元売れない芸人の独り言

孤高のコーイチローという芸名で売れない芸人をやっていました。

今週のお題ポエム「追憶と花火」

「ちょっと! なんで手つないでくれないの?」

「バカヤロー。恥ずかしくて手なんてつなげるかよ」

「意地悪…! こんなに混んでるんだよ!
はぐれたらどうするの!?」

「知らないよ」

「じゃあもういい! 私、他の人と花火見る」

「勝手にしろよ」

「ごめん…嘘だよ」

「こっちこそごめん…小生のほうこそ悪かったでござるよ」

「何、小生って(笑)コーイチローって本当に面白いね」

「涼子こそ本当に可愛いよ」

「だけど、そろそろ花火始まっちゃうよ。

こっから花火見えるのかなあ」

「バカ…俺にまかせとけよ」

「もう! 涼子はバカじゃないよ!」

「こっち来いよ」

「何これ…マンション?」

「いいから」


そういうと、俺たちは屋上に上がった。


「こんなこと勝手にして…あっ…」


その瞬間、花火が上がった。赤、ピンク、青、オレンジ…数々の光が眩く輝き、夜空を照らした。


「どう? 特等席だよ」

「嘘…私のために…こんな…」

「涼子…俺は、お前のことが好…」


二発目の花火が上がり、俺の言葉はかき消された。

しかしもう、俺たちに言葉は必要なかった。

舞い上がる火の花の中で、何度も口づけしあった。


「そろそろ…行かなくちゃ」

「なんで? 明日早いの?」

「うん。クレアラシルと、ドコモのポケベルのCMの撮影なんだよね」

「売れたら俺のことなんか捨てちゃうんだろ?」


冗談で言ったのだが…

急に彼女は真顔になり、その目からは涙が溢れてきた。


「どうして…そんなこと…言うの…?

私は、ずっとコーイチローと一緒だよ…」


俺は何も言わずに抱きしめた。



俺も広末涼子もまだ15歳の夏のことだった。


ツイッターアカウントは@kokono516