「お前…何から逃げてんだ?」
『板尾創路の脱獄王』(2010・日本)
監督:板尾創路
脚本:増本庄一郎 板尾創路 山口雄大
主演:板尾創路
キムと小南さんと銀座ポップと観に行ってきました。
ちなみに「見に」にしないのは、ライターの矜持です。
でも、慣習法っていうのも絶対あると思うので、
「見る」でもいいと思います。
「雰囲気」を「ふんいき」って正確に発音したら逆に変ですからね。
これは「ふいんき」で貫くしかないんだと思います。
まあそれはいいとしても…
ムショ抜けを繰り返す、現代の脱獄王。
殴られて、蹴られて、口の中も血まみれになって、
鼻血を出して、まずい飯を食わされ、嘲られて、
結局捕まって監獄に戻されても、
それでも逃げるのはなぜなのか。
やっぱりそこには理由があるのです。
ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、
私はかなり面白かったです。
DVDでようやく観た
『スラムドッグ$ミリオネア』
よりもよかった。
スラムドッグも、前半はよかったんですよ。
スラムの雰囲気や、貧困の恐ろしさ、
そして
学校で教わることが全てじゃなく、人生の中で鮮烈に心に刻まれたことは、
クイズに答えられるくらい覚えているということ。
私もCD一枚も持ってないですが、
友達と高校時代にカラオケで歌っていたラルクの歌は、
今でも歌詞を見ないで歌えるくらい覚えています。
ただ、後半がよろしくなかった。
「なんで?」
って思うことや、
「そうなるだろうな」
っていう予想を裏切らないことがダラダラっと続きました。
別に破綻があっても、展開が予想できても、
面白ければ私としてはいいんですが、後半は面白くなかったなー。
それに比べて、脱獄王は後半に加速していった。
これはやはりコントを作り慣れているからなのかなーと思いました。
出オチにしない。間延びさせない。
そして、一箇所、完全なる『大日本人』へのオマージュがありました。
もちろんリスペクトだと思うのですが、
あえて煽りVTR的に言わせていただくと、
「松本人志への挑戦」
でもあるのかなと。
実際、百年後に松本さんと板尾さんの関係を知らない後世の人たちは、
作品だけを観て二人を比較するわけで、
もしかしたら『脱獄王』のほうが『大日本人』より上だとジャッジするかもしれないのです。
という戦いに、
板尾創路さんというもう一人の天才が加わっていく可能性を感じた作品でした。
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