ラッパー志望の若者「がんばれよ!」
みひろ「お前ががんばれ! バーカ!」
SRサイタマノラッパー(2010年・日本)
監督:入江悠
脚本:入江悠
出演:駒木根隆介
みひろ
この映画を観た人を前提に書くので、観てない方にはネタバレしたり、意味がわからなかったりするのでご容赦ください。
A編集長も言ってましたが、何がよかったって、みひろがよかった。
しかし、なぜみひろでなくてはいけなかったのでしょうか。
例えば私は、吉沢明歩のほうが好きなのですが、吉沢明歩だと、お嬢様っぽくなりすぎて、今イチ違和感があったでしょう。それに、若干演技力も足りない気がします。もちろん「誘惑女教師」とか「未亡人」とか、明歩様のリングだったら、他の女優を凌駕する輝きを放つのでしょうが、「一旦東京に出たものの、AVに出演した挙句、埼玉の北部に戻って本屋でバイトしている女のコ」を演じるのはなかなか難しかったと思います。
では穂花ではダメだったのか? 穂花だとちょっと強くなりすぎてしまうのではないでしょうか。そのせいで何が起こるかというと、主人公の「犯すぞ、このやろー」というセリフが成立しなくなってしまいます。今の女尊男卑の世の中で、穂花ほどの女王に対して冗談でも「犯すぞ、このやろー」なんて言える傾奇者はいません。もちろんみひろも女王なのですが、どこかそれを許せるような「隙間」のようなものを感じます。
ならば、麻美ゆまではダメだったか? 麻美ゆまだと、胸に目が行ってしまい、若干ストーリーの邪魔になってしまう気がします。
大塚咲ではどうか? 演技力も雰囲気もあり、役者もできるポテンシャルはあるものの、ちょっと熟女のイメージがあるので、今回の役とは違うかもしれません。
それなら、原紗央梨はどうか? AVファン(男性の9割)では知らない者はいませんが、世間への知名度を考えるとちょっと弱いなと。(まあ、男性の9割に知られていればいいという気もしますが…)
ということで、やはりみひろというキャスティングは素晴らしかったと思います。
全体的にはどうか?
正直最初は、水道橋博士の絶賛や、A編集長の推薦でハードルが高くなっていたことと、自分が埼玉県民ということで、ちょっとネガティブな目で見ていました。
「この監督、埼玉ナメてるだろ」
「こんな即興でフリースタイルできるんなら、ちょっと売れるよ」
「なんか、“夢を追うダメ人間”の描き方がぬるい。俺が銀座ポップさん(40才・まだ売れてない芸人)を撮ったほうが面白くなるわ」
と、突っ込む感じで見てしまい、それこそみひろの可愛さ、役へのハマり方しかプラスポイントしかないような状態が続いていました。
ところが…
判定負け寸前での、ラストシーン。
爆笑した挙句、危うく泣きそうになりました。
最後にKOされてしまいました。
みひろファンは必見、映画好きは少なくともラストシーンは必見(好みにもよりますが、それまでは若干我慢が必要かも…)、ラップ好きや埼玉県民は、かなり我慢しなければいけないと思いますが、それでもラストシーンは必見だと思いました。
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